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月別アーカイブ: 2025年6月

第11回水炊き雑学講座

皆さんこんにちは!

金色、更新担当の中西です。

さて今回は

~仕入れ~

ということで、仕入れにこだわり、どのように食の価値を高めているのか、その裏側に迫ります。

 

どんな居酒屋も「おいしい料理」を目指していますが、“仕入れにこだわる店”は、その一歩先を行きます。
それは単なる味の追求ではなく、食材と人と地域への深い愛情と責任感によるものです。


1. 料理は“仕入れ”で決まる

どんなに腕の良い料理人でも、素材の良さがなければ感動は生まれません。
特に居酒屋では、気軽さの中に本物の味を求めるお客様が多く、
「お通しからうまい」と思わせるには、仕入れの質が何より問われます。

  • 朝獲れの地魚

  • 生産者と直取引の野菜

  • 季節ごとに変わる地鶏や地酒

すべてが、「この一皿には理由がある」と語れる素材でなければならないのです。


2. 生産者との“つながり”が味を変える

こだわりの仕入れとは、単に高価なものを買うことではありません。
それは、生産者の想いや哲学を汲み取って、お客様に届ける「橋渡し」なのです。

  • 「この大根は、農薬を使わず3か月かけて育てています」

  • 「この酒は、杜氏さんが今期だけ仕込んだ限定品です」

そんなストーリーがある料理は、味わいだけでなく心にも残るのです。


3. “旬”にこだわるという贅沢

季節に応じて食材を変えることで、居酒屋は「四季を楽しむ場」になります。

  • 春:山菜と新玉ねぎのかき揚げ

  • 夏:鱧と梅肉の冷菜

  • 秋:戻り鰹の藁焼き

  • 冬:寒ブリの照り焼きと熱燗

これは、冷凍品や通年流通の素材では味わえない、“今”だけの贅沢です。


4. こだわりはコストではなく“信頼”で生まれる

「そんな仕入れ、高いんじゃ?」と思うかもしれませんが、
信頼関係がある仕入れ先とは、価格よりも「質」で取引することが多いのです。

  • 「この魚、今日は特にいいからおまけしとくよ」

  • 「台風で収穫減ったけど、いつも取ってくれるから優先で送るね」

こうした人と人の信頼が、結果的に「コスト以上の価値」を生んでいるのです。


5. お客様の声が“次の仕入れ”を育てる

仕入れにこだわる店では、お客様の反応を仕入れ先にもフィードバックしています。

  • 「このトマト、甘くて評判よかったよ」

  • 「この銘柄鶏、女性客に人気だった」

その声が、生産者の励みになり、次の仕入れの質を高める循環が生まれるのです。


仕入れにこだわる居酒屋は、料理を通じて「人と人」「土地と人」をつなぐ場所です。
食材の背景、作り手の思い、店主のこだわり――すべてが一皿に詰まっています。

そうした一皿を口にしたとき、私たちは「ただの食事ではない、特別な時間」を味わっているのかもしれません。

第10回水炊き雑学講座

皆さんこんにちは!

金色、更新担当の中西です。

さて今回は

~コミュニティ~

ということで、居酒屋が生み出す交流の力、地域に与える影響、人々にとっての意味を深掘りします。

 

日本の街角に数多くある居酒屋。
「飲む場所」と思われがちですが、実はそれ以上に重要な役割を果たしています。
それは、“人と人とがつながるコミュニティの場”としての存在です。


1. 「誰でも来られる」開かれた場所

居酒屋は、年齢や立場、肩書を超えて誰もが気軽に入れる場所です。
常連客、初めての客、サラリーマン、学生、近所の住人……。
それぞれが「同じ空間にいるだけで心がほぐれる」という不思議な安心感があります。

これは、形式や礼儀よりも“人の温度”が優先される空間だからこそ生まれる効果です。


2. 地域の「情報交換所」

小さな町の居酒屋では、日々の暮らしのニュースが飛び交います。

  • 「○○さんの子どもが大学に合格したらしい」

  • 「あの工事、来週から始まるって」

  • 「近くに新しいパン屋ができたってよ」

こうした情報は新聞にもネットにも載っていないけれど、地域に根ざした“生きた声”です。
居酒屋は、まさにそのハブになっているのです。


3. 孤独をほぐす「心のセーフティネット」

誰かと飲むことで、言葉にできなかった悩みがふっと出ることがあります。

  • 「最近ちょっと疲れててさ…」

  • 「実は転職考えてるんだ」

  • 「親が入院してて…」

こうした声に、カウンター越しの店主や隣席の常連が静かにうなずいてくれる
それだけで、心が軽くなる瞬間があるのです。


4. 店主がつくる「居場所の文化」

居酒屋を支えるのは、料理や酒だけではありません。
店主の人柄や空気づくりが、「また行きたい」と思わせる要になります。

  • 名前を覚えていてくれる

  • 好みの焼き加減を覚えている

  • さりげなく席を調整してくれる

こうした“心遣い”が積み重なることで、店は「もうひとつの家」のような存在になっていくのです。


5. コミュニティ再生の鍵としての居酒屋

高齢化や過疎化が進む地域では、“人が集まる場”の価値がますます大きくなっています。
イベントや自治会以上に、自然体で集まれる場所
それが居酒屋の持つ“再生力”であり、“地域の未来をつなぐ力”でもあるのです。


居酒屋は、単なる飲食の場ではありません。
人と人との間に生まれる、小さな共感や信頼を育てる場所です。
それは、便利さや効率では得られない“人間らしいつながり”を思い出させてくれる存在です。

「今日も、あの席に顔を出してみようかな」
そう思わせてくれる店があるだけで、人生は少しだけ豊かになります。